秩父札所小話②ー納め札の歴史、打ちはじめ
札所への参拝は、古来より「打つ」と称されてきました。
これは、お参りをした際に 木の板をお寺に打ち付ける という行為からきています。
「打ちはじめ」=参拝すること、「打ち止め」=参拝を終えること と呼ばれるようになり、
今でも、「打ちはじめ・打ち止め」という言葉が使われています。
まだ紙が存在していなかった時代では、木の板に願い事を書いて本堂に打ち付けていましたが、時代が進むにつれ、木の板から紙の札へと進化しました。
私たちが提供している秩父札所専用の納め札は、そんな長い歴史の一端を刻んでいます。
通常、納め札にはお参りの記念として、四字熟語でお願いごとを書き込みます。
一方、その納め札の進化には、実は様々な社会的背景が存在しています。かつては木のお札が打ち込まれていましたが、年月と共に札を打てる場所が減っていき、柱も釘でボロボロになっていき、景観の問題があちこちで起こり始めました。
その後、紙への移行に伴い、初めは米粒を使った「ごはんのり」で付けられて、この問題は解決したと思われました。
しかし、お参りをする多くの方が、少しでも長く願いを貼り付けておきたいと願うようになり、納め札はごはんのりよりも強力なのり付きのものへと変わっていきました。その後、剥がれにくいのりの技術が進化し、再度、景観の問題が起こるようになりました。同時期、お寺が次々と重要文化財として認定されていったことも有り、お寺に直接貼り付けることができなくなっていきました。
そして、現在の秩父札所では、銀色の箱に納札を入れる形式へと変わってきています。
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